『めっきらもっきらどおんどん』レビュー 3~5歳向け異世界ファンタジー絵本【保育士おすすめ】

3~5歳向け

『めっきらもっきらどおんどん』レビュー 不思議ワールドに飛び込む冒険絵本

長谷川摂子さん作、降矢ななさん絵の絵本『めっきらもっきらどおんどん』(福音館書店/1990年刊)は、遊び仲間がいない意気消沈した男の子・かんたが、不思議な歌とともに異界で遊ぶファンタジー作品です。

保育士として読み聞かせると、子どもたちは冒険にドキドキし、“歌を唱えるシーン”で思わず口ずさむなど、ワクワク感と共感が広がる傑作です  

『めっきらもっきらどおんどん』ってどんなお話?

題名めっきらもっきらどおんどん
作/絵長谷川摂子さん/降矢ななさん
発行所福音館書店

あらすじ

神社のご神木前で歌を歌ったかんたは、穴に吸い込まれ、不思議な山の世界へ。

そこでは「もんもんびゃっこ」「しっかかもっかか」「おたからまんちん」の個性豊かなおばけたちと出会い、モモンガごっこやお宝交換、縄跳びなど思いきり遊びます。

しかし夜になり、お母さんを思い出したかんたは「お母さーん」と大きな声を出します。不思議な帰還を果たし、家に戻ると、お母さんが迎えてくれる安心感が描かれ物語は終わります。

保育士の視点から見る、子どもの反応と絵本の魅力

不思議なことばにワクワク!「ちんぷくまんぷく…」

読み始めてすぐに出てくる“ちんぷく まんぷく…”という言葉に、子どもたちは目をキラキラさせながら反応します。何度も繰り返して読んでいるうちに、自分から言いたくなってくるようで、絵本に合わせて唱え始める姿も見られます。まるで呪文のような音の楽しさに、夢中になって引き込まれていくのが分かります。

「そこに誰かいる⁉」ページをめくるたびに発見!

穴の中から不思議な声が聞こえるシーンでは、「えっ、誰の声?」「そこにいるの?」と身を乗り出してくる子が多数。まるで絵本の世界と本当につながっているかのような感覚になり、目の前の絵に向かって話しかけてしまうほど。ページをめくるたびに「何が起きるの?」と期待が高まり、物語への没入感が一気に深まります。

キャラクターになりきって遊びに発展!

物語に登場するユニークな名前のキャラクターたち「もんもんびゃっこ」「しっかかもっかか」「おたからまんちん」。読んだ後には「ぼくも“もんもんびゃっこ”になりたい!」と、自分で縄跳びや風呂敷を持ってきて、なりきり遊びが始まります。子どもたちの想像力がふくらみ、自由なごっこ遊びへと自然に発展していくのが印象的です。

ちょっと不安…でも安心もちゃんとある

お話の後半、不思議な世界で遊びすぎたかんたが「おうちに帰れないかも…」と不安になる場面では、読みながら一瞬静かになる子も。ですが「ちゃんと戻れてよかったね」と安心した表情に戻ることで、子どもたちは“ドキドキ”と“ホッとする気持ち”を物語を通して感じ取っているようです。小さな冒険と安心の流れが心に残るようです。

読む時の工夫ポイント

不思議な響きを“ゆっくり・はっきり”読んでみる

この絵本の大きな魅力は、音の楽しさや独特な言葉の響きにあります。冒頭の「ちんぷく まんぷく やっきょもっきょ」に始まり、登場キャラクターの名前やセリフもユニークな言葉ばかり。そうした部分は、慌てずに一語ずつ丁寧に、少し大げさに読んでみると、子どもたちはより反応を返してくれます。

特に初めて読むときは、耳でじっくり聞き取れるように、「言葉のリズム」や「音の心地よさ」が伝わるように読むのがポイントです。

声色を変えて登場人物を演じ分ける

かんた、もんもんびゃっこ、しっかかもっかか、おたからまんちんなど、それぞれのキャラクターが個性豊かに描かれています。読み聞かせの際は、声のトーンや話し方を変えてキャラクターごとの違いをつけてみましょう。

たとえば、もんもんびゃっこは元気で陽気な声、しっかかもっかかは少し気まぐれな雰囲気で、おたからまんちんはどっしりとした重めの声…というように工夫すると、子どもたちはより物語の世界に引き込まれます。

絵に注目させる場面をつくる

文章を読んだ後、少し間をとって絵を一緒に見てみましょう。特に「穴の中をのぞく場面」や「不思議な世界の広がるシーン」などは、「ここ、誰かいるかな?」「この世界ってどんなところだと思う?」と声をかけて、絵本の中に入り込む時間を大切にすると、子どもたちは想像力をふくらませて楽しめます。

読み終わったあとに、問いかけをする

「もし、自分がかんたなら、どんなことを言ってもらいたい?」

「“もんもんびゃっこ”たちと、何して遊びたい?」

など、物語の続きを子ども自身が考えて楽しめるような問いかけをしてみましょう。お話の余韻を味わいつつ、想像することの楽しさを感じられるようになります。

まとめ 想像力が自由に広がる夏の冒険絵本

『めっきらもっきらどおんどん』は、子どもの自由な“遊び心”を大切にした名作ファンタジーです。

読み聞かせでは、歌とリズムから身体表現へ、冒険と安心から心の成長へと自然に導けるので、保育士としても強くおすすめしたい一冊です。

子どもとの冒険セッションを、ぜひクラスやご家庭で体験してみてください。

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