『もうぬげない』レビュー 脱げない服が教えてくれる自分への信頼感
ヨシタケシンスケさん作『もうぬげない』(ブロンズ新社・2015年刊)は、服が顔にひっかかって脱げなくなった男の子が、途方に暮れながらも自分なりに工夫し続けるユーモラスなストーリーです。
保育士として何度も読み聞かせた結果、子どもたちが自然と自分と重ね合わせて笑い、共感し、「どうしたらいい?」と想像を膨らませる姿に出会える一冊です。
『もうぬげない』ってどんなお話?
題名 | もうぬげない |
作 | ヨシタケシンスケさん |
発行所 | ブロンズ新社 |
- あらすじ
男の子は服が引っかかって脱げなくなり、「このままずっと脱げないかもしれない…」と心配。一度は「このまま大人になる」と決めるものの‥?
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保育士目線:読み聞かせでの子どもの反応
- 3〜4歳児クラス
表紙を見ただけで笑い、ストーリー中も「あ!僕もこんなことあった!」と自分ごととして反応する子多数。工夫の場面では「ストロー使って飲むの?」と興味津々に質問が飛んできます 。 - 5〜6歳児クラス
「これって、どう思う?」と問いかけると、「面白いけど、やっぱりお母さん助けて!って言っちゃう」と、自分の判断と子どもの視点との違いを素直に話す姿が印象的です。
保育・読み聞かせにおすすめの理由
- 子どものあるある体験に即反応する共感性
「脱げない」というちょっとしたトラブルを大きな冒険に変えるユーモアが、低年齢でも楽しめます。 - 想像力を育む前向き思考への名サポート
状況を受け入れながらも「何とかなるかも」と前向きに工夫し続ける主人公の姿は、試行錯誤や自己効力感を育みます。 - 大型絵本版もあり、集団読み聞かせにも最適
73万部突破&大型版発売済みで、お話会や保育園イベントにも現場で使いやすい一冊です 。
読むときの工夫ポイント
- “脱げない”状態を演出する声と動作づけ
動きと声のリズムをつけて読み進めることで、子どもたちも一体感を持って参加できます。 - 「どうする?」と問いかけながら読む
親子で想像しながら読み進めると、会話が自然と生まれ、対話的な時間に。 - 落ち着く終わり方を丁寧に描写する
最後にお母さんに助けられる場面では、ぬくもりやホッとする感じをゆったり描いて安心感を提供しましょう。
関連作の紹介
- 『なつみはなんにでもなれる』:模倣とクイズ遊びで身体表現の幅を広げる作品。それぞれの自由表現が楽しめます。
- 『みえるとか みえないとか』:違いを“おもしろがる”発想力を育む絵本。同じ作家のユーモア視点を楽しみたい方におすすめ。
まとめ 失敗から生まれる想像と前向きさ
『もうぬげない』は、子どもが日常で経験する小さな困りごとを、大きな笑いと創造の時間に変える力を持っています。
保育現場での読み聞かせでは、子どもたちに「大丈夫、自分でなんとかできるかも」と思える種を育み、「失敗を恐れずに工夫する楽しさ」を伝える一冊として活躍します。
ぜひ記事とともに、記事内リンクの関連作と併せてご紹介ください!
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