『おこだでませんように』レビュー|子どもの気持ちに寄り添う感動の絵本
作:くすのき しげのり / 絵:石井 聖岳(小学館)
項目 | 内容 |
---|---|
タイトル | おこだでませんように |
作・絵 | くすのき しげのり・石井 聖岳 |
出版社 | 小学館 |
ページ数 | 32ページ |
対象年齢 | 4歳〜小学校低学年 |
ジャンル | 感情理解/家族愛/七夕 |
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¥1,650
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📖 あらすじ(要約)
この絵本の主人公は、小学1年生の男の子。彼は日々の生活の中で、家でも学校でも叱られることが多く、思わず言い返してしまったり、手が出てしまったりすることも。
でも、本人はちゃんと理由があって行動しているのに、うまく言葉で伝えられず、誤解されてしまいます。
そんなある日、学校で七夕の短冊を書く機会があり、彼が書いたのは「おこだでませんように」という言葉。それを見た先生や家族が、ようやく彼の本当の気持ちに気づく──という物語です。
🌱 子どもの心を描いた深いテーマ
子どもが叱られてしまうのには、理由があることがほとんどです。でも、大人はつい「悪いことをした」と決めつけてしまいがち。本書では、そんな“子どもなりの正義や思いやり”を、主人公の目線で丁寧に描いています。
特に印象的なのは、短冊に書かれたひらがなの願い。「怒られたくない」という願いの裏には、「本当はちゃんとわかってほしい」「自分の気持ちを見てほしい」という叫びが込められているのです。
👩🏫 保育士から見た読み聞かせポイント
- 子どもと一緒に“気持ち”を読み取る時間に
叱ることが多い保育者・親こそ、この絵本を読むことで見落としていた気持ちに気づくことがあります。 - 読み手の感情を抑えて読むのがコツ
主人公の静かな願いを優しく伝えるように読むことで、子どもたちの共感を引き出せます。 - 七夕の時期にぴったり
実際に短冊を用意し、「どんな願いごとを書きたい?」と問いかける活動につなげると、家庭でも保育でも盛り上がります。
👧 子どもたちの反応は?
筆者が実際に読み聞かせをした際、子どもたちは最初から真剣な表情で話を聞いていました。短冊の場面では「ぼくもかきたい!」「○○は怒られてばっかりじゃないよ」など、思わず声に出す子も。
また、「どうして怒られるのかな?」「どうやったらわかってもらえるかな?」という会話にも発展し、自分を振り返るきっかけになる様子が見られました。
📌 この絵本の魅力まとめ
- 子どもの本音を代弁してくれる
子どもが普段なかなか言葉にできない気持ちを、物語を通して表現しています。 - 大人へのメッセージが強い
叱ることの意味や、子どもをどう受け止めるかを考え直すきっかけになります。 - 感情の細部を表現した絵
表情やしぐさ、日常の小物の描写から、男の子の心の中が読み取れる丁寧な絵が印象的です。
🔖 まとめ
『おこだでませんように』は、子どもの「わかってほしい」という気持ちが、静かに、でも強く伝わってくる一冊です。
読むたびに、子どもと大人、それぞれに違った気づきを与えてくれるこの絵本。親子の対話を深めたい方、保育の中で心を育てる活動に取り入れたい方に、ぜひ手に取ってほしい一冊です。
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